年金の知識(日経文庫)
村上 清 著
日本経済新聞社
定価 830円+税
南都雄三 評
1998/2/20
年金については岩波新書の『年金入門』(島田とみ子)より、わ
かりやすいし、年金の問題点がきちんと指摘されている。問題点が
指摘されているという点では、単なる入門書を越えているといえる
かもしれないが、本当はその方がいいという見本である。というの
も年金制度自体、問題があることによって矛盾が生じているそれ
を、問題意識なく解説された場合、かえって良く分からなくなるこ
とが多いからだ。その点本書は、著者の公正な(と私は感じた)立
場から、現状におもねることなく、論理が通っており、わかりやす
く書かれている。このことは非常に重要なことで、他の入門書も購
入して見たが、厚生省の理屈の代弁のような本ばかりであり、読ん
でいて不愉快になったものが多かったのである。
年金は、国民、あるいは市民にとって重要な問題である。それ
が、一部のもののわからないエリートに左右されてはたまらない。
本書は、週刊誌流の年金制度が崩れるとの俗流の批判を越えた政府
の年金制度への批判の書にもなっていて、参考になる。ただ、市民
という視点は、年金制度を維持していく上で必要のない考えなのだ
ろうか。そのことを著者に聞いてみたい気持ちにかられた。
これから「社会人」になる人も、自営の人も、年金を払っている
人も、どうせ自分には戻ってこないだろうと払っていない人にも、
必読。
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