六時閉店表紙

六時閉店―地方出版の眼―
松村久著

マツノ書店
ISBN
定価 品切れ中
松本 功 評
1997/8/26

山口県の一都市徳山市で、古書店と出版社を営んでいる松村さんが、仕事にまつわることを書いた本である。8年前に出版社を作った私にとっては、この本は2冊のバイブルの内の1冊である。(もう一冊は、岡茂雄の『本屋風情』中央公論社)山口県は、毛利による戦国時代以来の歴史と明治維新の時に主役の一方であったということから、歴史的な文献が多い。(鹿児島で同様な出版社がないことを見ると、島津は、毛利に比べて、文化的な政策で劣るところがあったようだ)その復刻と新しい著作を出しており、世界は山口県史については、マツノ書店を中心に回っているとまでおっしゃっている。「山口県史料に関するかぎり、いまや全国の9割以上はこのマツノ書店を中心として動いているように思われる」(232ページ)私が、以前読んだときに、赤線を引いた。
新刊の出し方も、松村さん曰く「本の産直」方式で、郵便振り替えによる直販にほぼ徹しており、さらに刊行前に予約した読者には特別のサービスを行っている。予約が予想より少ないときには古本屋さんの市場を使って極度の配慮をしながら売りさばいてしまうなど、非常にしたたかで、様々な細かい営業手法はまた、私が、一人で出版社を作ったときに、知恵と勇気を授けられたものである。松村方式を用いたので、資本がなくても出版社を起こせたのである。ということで、大恩人(?)なのだ。私は、まだ、古本屋さんに売ってしまったことはないが。
あまりに個人的な回想に終始してしまったが、本を作る(出版社を作る)ということに興味をもたれた方には、一読をおすすめしたい。21世紀は、このような徹底した頑固な出版社と大手出版社しか、残らないと思われるからだ。今は、在庫切れとのことなので、図書館にリクエストするといいと思う。

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